木曜日, 9月 01, 2022

理想と現実のシーソー

皆様こんにちは。
日中はまだまだ暑いですが、朝晩吹く風に少しずつ秋らしさが感じられて来ましたね。夏の疲れが出てくる時期でもありますが、体調崩されていませんか?

今回は、少しまじめなお話です。
少し前にテレビのドキュメンタリー番組で認知症高齢者の入居施設を取り扱ったものがありました。その施設が掲げているのはその方の『あるがままを受け入れる』こと。施設側の都合や時間軸で何かをさせたりすることなく、可能な限りその方のやりたいことをやりたいように、つまりご自宅に暮らすような形で過ごしていただいているのです。たとえ入居者の方が不穏な状態に陥った際も物理的な力(及び抑制)や薬を用いずに対応することを基本姿勢にされています。施設自体も小規模で、家に近いような形で、そこで生活されているご利用者様の表情も穏やかなものです。理想的な介護の形ですよね。

しかしながら、認知症の施設ゆえ、様々な問題が起こります。例えば、夕方帰宅欲求が出て外へ出ていこうとしても、それを止めることはせず、スタッフはただその方の傍で一緒に寄り添いながら、落ち着きを取り戻すまで、一緒に外を歩きます。また、ある時は入居者の方が自分の感情がコントロールできなくなり、スタッフに手をあげてもそれをじっと受け入れるのです。そのため、スタッフの体には生傷が絶えず、過酷な労働環境となっています。それでも、責任者の経営理念に賛同して集まったスタッフや責任者は、懸命に現場で入居者の対応を行っていらっしゃいます。

この番組を見て、自分の日々の業務と照らし合わせながら色々考えさせられました。

ご利用者様と寄り添うこと、
薬をどのように使うかということ、
スタッフの身の安全を守ること・・・

デイケアでも、不穏が強くなってしまった場合、医師の指示の下頓服薬を内服いただくことがあります。しかしそれは決してスタッフ側の都合であってはなりません。あくまでも、その方がご自身の心身のコントロールができなくなって、辛くなったり、苦しくなったり、イライラしてしまったり、それによりご自分や他の方に危害を及ぼしてしまう、そんな時はお薬の助けを借りることも必要なのではないかと思います。

もちろん理想はこの施設のように、お一人お一人に寄り添った介護だと思います。だからと言ってどこかにしわ寄せがいって、そこにいる誰かが我慢したり、辛い思いをするのも何か違うなと思うのです。

難しいですね・・・

理想と現実の折り合いをどこでつけるのか、現場で働いている私たちは常にそのシーソーの上で揺れているのです。


最後に、夏の作品の数々を。





















皆さんにとっての理想の暮らし方はどんなものですか?


かたやまクリニックのHPはこちら