月曜日, 10月 17, 2022

おったまげたこと

 皆様こんにちは。気が付けば10月も半ばを迎え、山沿いでは紅葉も少しずつ始まってきました。今年の晩夏から初秋にかけては急激な気温の変化や雨模様のお天気で、体調管理がなかなか難しいですが、体調崩されていませんか?

認知症のフロアでお仕事をしていると、色々驚きの出来事と遭遇するのですが、今回はそんなエピソードから考えたことをお話ししようかなと思います。

ある日、軽度認知症のフロアでのこと。男性利用者様がカバンの中からチューブを取り出していたところに通りがかりました。ハンドクリームでも塗るのかなと思い、お声をかけると、私に手を出すようにとおっしゃったので、手の甲を差し出すと、チューブから出てきた白いものを私の手の甲に丁寧に塗り始めました。明らかにハンドクリームとは感触が違い、「むむむ???」と思い、そのチューブを見ると・・・

『洗顔フォーム』

と書いてありました!

しかも、そのチューブ、半分くらいは既に使われており・・・固まっている私を全く意に介さず、「な、いいだろ?」と嬉しそうに語りかけてくるご利用者様。いつもこんな風に使っているのかをお尋ねすると、「そうだよ」と自慢げに答えてくださいました。

パッケージをお見せしながら「これは『顔を洗う時に使うもの』だから、塗ったままにせず洗い流した方がいいですよ~」とやんわり伝えましたが、「あ~、そうなの?でもこのままでいいよ」とあっさり受け流されてしまいました。何度か説得を試みましたが、洗い流す様子は全くみられず。これはマズイと思い、洗面所で自分の手に水をつけて泡立てた状態をお見せし、「ほら、石鹸でしょう?つけたままより、泡立てて流した方がお肌がすべすべになりますよぉ~」と説明すると、ようやく腰を上げ、洗面台で洗い流してくださいました。そして「あ~、ほんとだ。すっきりしたなぁ」とご納得いただけました。

その後ご本人の承諾を得て、パッケージの前面には『これは顔を洗うものです』、後面には『付けた後は、洗い流しましょう』とマジックで大きな文字でテープに書いて貼らせていただきました。

中等度、重度のフロアでは異食の危険性もあるので、物品管理には十分注意を払っているのですが、軽度のフロアでこのようなことがあるとは。まさに“おったまげ”な出来事でした。


しかしながら、そこで洗顔フォームのチューブを見て考えました。


パッケージの前面→商品名がおしゃれに書かれているが、ぱっと見何か分かりづらい

パッケージの後面→原材料名など小さい文字の羅列でなんのこっちゃ


洗顔フォームなのか、ハンドクリームなのか、はたまた歯磨き粉なのか、考えてみると世の中には似たような形状で用途の異なるモノが実にたくさんありますよね。バリアフリーやユニバーサルデザインの考え方や取り組みも大分浸透しては来ましたが、このようにほんの小さなことでも不便さがあったり、一つ間違うと危険にもつながりかねないことがあるのだということを感じた出来事でした。

ご家族様が一緒に住まわれている場合は、すぐに気が付くかもしれませんが、軽度から中等度の認知症でおひとり暮らしをされている方の場合には気を付けた方が良いかもしれません。

でも、不思議な使い方をしているのを見つけても、決して怒ったりしないでくださいね。ご本人はそのつもりで使っているのですから。怒られたら傷ついてショックを受けてしまうかもしれません。そっと取り替えておくか、笑い話にして「今度はこうしようね」と優しくお伝えください。


最後に今月の創作をご覧ください。








皆さんが、最近『おったまげた』のはどんな時ですか?


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